四畳半神話体系最終話

ねたばれ
このEDに至るための1〜10話だった。
有意味が無意味に変わる瞬間笑いが生まれるとチャップリンが言ったらしいが
無意味が有意味に変わった本作最終回では
主人公の成長物語という最もオーソドックスな結果に
なんだかわけもわからず感動して勇気がわく。
別に大それた話ではなく、
単に大学生がサークルにはげみ友人をつくり彼女をつくり
勉学に私生活に励もう、
というそれだけのあたりまえのことを主人公は1話開始数分から延々と求めていたのだ。
よく大病を患うと人生観が変わると言われるが、
主人公は一種の大病に罹ったような経験をした。
全ての関係と選択を拒否した。
ずぼらで8回生のナスみたいな先輩や、
ドール趣味のイケメン先輩や、
悪魔と妖怪を足して二で割ったような同級生、
冷静で少しおちゃめな下級生、
色んな世界の四畳半から彼らを観察することによって、
人間と価値観の多様性に気づいた主人公は自分の求めるものが何なのかを知った。

しかし、これだけの面々に囲まれた私のキャンパスライフははちきれんばかりに充実していたはずである。
私はいったい何をしていたのか。
私は世界を味わう術を知らなかった。

不毛と思われた日常はなんと豊穣な世界だったのか。
ありもしないものばかり夢見て自分の足下さえみてなかったのだ。
これは私が選んだ人生、私が望んだ結果である。

漫然とせず、好機を思い切って捕まえてご覧なさいまし。

素晴らしい最終回でした。