ウテナ


今年一番ぞくぞく来た。




以下自分語り。


ウテナの決闘リンクなんてのも見つけて寝る時間も忘れてむさぼったが
結果として自分の中の価値観形成の8割型ウテナの影響を受けているんだと感じて愕然とした。
人生に大きな影響を与える作品が云々という話は
話の上ではよく聞くことではあるけれども自分に置き換えて
何が大きな影響を与えているのかと考えた場合、
やっぱりエヴァだとかそういうぱっと思いつく事にまとまりがちだった。
しかしウテナの関連動画やMADを見ていき色々な記憶がよみがえっていく内に
今の価値観を形成していく段階にまさに関わり影響しているように思えた。
それは単純な異性の好みであったりとか
暮らし方や会話の受け答え、好きな雰囲気であったりとか、
勿論そういう素地があってウテナが好きだった可能性もあるが、
今思えるのはやはり素地があったにしろ今の価値観の原型を作りあげた
1つの材料としては最大の物である事はまず間違いない。
そして数あったアニメの中でウテナが価値観に影響を与えた最たる理由は
それが勝者の中の敗者を美しく描いていたからに他ならない。
アンシーに転移する形で登場人物の葛藤が表面化し、
ほとんど全ての登場人物が一度は膝を屈し無様な姿をさらす。
頑張れば良いとか努力すれば良いとかそういう次元の戦いでは無く、
彼らのほとんどは既に努力し成功を収めその上での戦いで負け、
自分自身ですら見たくもない自分の中にあるおぞましく厭らしい感情を暴かれる。
思えば主人公のウテナも女でありながら王子様になるという願望を持っており、
これは最初から負け戦に挑んでいるような物だ。
負け負けとこう書くといかにも傷の舐めるのが好きなんだろ、だとか感じる人もいるらしいが、
結局そういう思考マッチョにはどれだけ言葉を尽くそうが相互理解が為されるはずもなく
そうした分かり合えないという現象を通じてこれがまさに価値観であると理解をすると共に
彼らには感覚の欠如、物事の概念の欠如という意味で寂しさを感じる。
恐らく若葉の

「お前もその女も生徒会の連中も皆私を見下しているんだ!何の苦労も無く持って生まれた力を誇ってな!だからお前達は皆平然とッ!人を踏み付けに出来るんだ!!」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm95172

というセリフさえも感覚を伴わない単なる文字の羅列としか捉えられないのだろう。
もちろん一方で

「樹里……彼女は愚か者だ。自分に降ってきた奇跡が、誰かの犠牲の上に成り立っていることに気付かないのだからな……だがそんな奴こそ奇跡を手にする!理不尽だと想わないかっ!?樹里!」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm94854

で説明されているように社会的な成功と敗者の心の動きを感じ取れる事とは何の関係もない。
むしろそんな物はない方が身軽で良いだろう。
しかし、これは「有れば良い」「有ったら悪い」という問題では無い。
感情の流れを決める価値観の問題であり、
有ってしまった者は無い者とは相容れないというだけの話だ。
幸か不幸かこうした感情の動きに共感してしまう芽がウテナによって植え付けられた。
それを確認した、というお話。


追記(H23.1.15)

「君が、自分の時間を止めてまで大切にしていた思い出のイリュージョンを俺は利用したんだ。君が可能性を秘めたまま大人になりきれずにいた時間は役に立ったよ。でも、それも終わりだ。

これから先、君の進む道は用意していない。君も、卒業してくれ」