青い花 第11話「冬の花火」最終回感想

今期1番面白かった。
エンディング後の最後のCパートの出来映えが近年稀に見る傑作。
終わり良ければ全て良しとはよく言うが、最初から最後まで良かったのはもちろん。
以下ネタバレ
杉本先輩のロンドン留学を思いついたのは原作者?かオリジナルなのか、
どちらにしても素晴らしいアイデアだ。
子供みたいに負けず嫌いで、外見からは想像付かないが正面切って向き合うのが苦手で
でも根っからの臆病者で悲観主義者で、今の自分が居心地が良い癖に
どこか満足できなく変化を求めてしまうような、そんな性格の人が思いつきそうな
実に合理的な行動だった。
それに、最終回で様々な人の思いは一応の解決をみるのだが、
彼女だけは何も解決らしい解決は描かれないまま
そのまま積み上げていく形で年齢を重ねていく様がこれから想像できる。
実に先輩らしいというか人間らしいというか。
実際自分もそうだが大抵の人は過去に明確な決着なんて付けないまま
急かされるように色んな物を積み重ねて年を取っていく。
そういう鈍感さが大人の証拠であり、より鈍感にならなければ社会的に成功しないのだろう。
実際その片鱗として易々?バスケの全国大会まで上り詰めている。
こういう風な人が10年後きっと多くの人に支持される立派な大人と呼ばれるのだ。
アニメ的な家柄や外見的な優位を取り払って考えれば
彼女こそ一番居そうな人間らしいキャラクターだったし、
王子と呼ばれ最初から最後まであの中では人気を集めるのだろう。


一方他はどうかと言うと、こちらはこちらでアニメとしてとても良くできた収束だった。
壊される学校も、金髪ショートと許嫁、兄貴と茶髪の子、
あーちゃんとふみちゃん、色々な部分で終わりながらも始まっている様がきちんと描かれている。
これは簡単に見えるが、もの凄く難しいことだと思う。
他のアニメの最終回を見れば、区切りを入れつつも未来を予感させる描き方が
どれくらい難しいのかというのは想像に難くない。
単に日常が続いていくとか、単に困難が解決しましたとか、単にみんな死んじゃったりとか
そういうのも面白いんだけど、好きの程度で言えばこのアニメにはこういう終わり方が似合っていると思う。
(当然他の展開も他のアニメでは好きですよ。)


特に青い花を見つけるシーンは思わず「あー!」と声を上げてしまったwwww
そうくるか!という驚きと、なるほど!という納得がいっぺんに来た。
ちずちゃんと杉本先輩での色々な出来事というのがここへ収束するかと。
近年は視聴者予想を裏切るの斜め上の展開が好まれるが、
まさに予想しなかった斜め上の展開なんだけど、本当はド直球の展開。
何言ってるか分からないけど、今考えるとこれを予想させない為の伏線の張り方がもの凄く丁寧だった。
目的地とは誰しもが想像できる直球物なんだけど
丁寧な描写で目隠しされてドキドキしながら連れて歩かれて
全然別の全く知らない所に行ったと思って目を開けたら当初の目的地で、「えー!」みたいな。
予感をさせつつも忘れさせるっていうのは相当コントロールが難しいと思う。ので、びっくりした。
唐突にスパコンが爆発して全員死んじゃうとか、死ぬと分かっていた主人公がやっぱり死んじゃうとか
そういうのが溢れている中で比較するとと実に良くできている。


後は個人的な想像なのだが、学校で青い花を見つけた後、歩いて行く様が
ふみちゃんが今後歩く道のようで面白かった。
恋愛をいくつか経験し、初恋の人を思い出したふみちゃんにとっては
杉本先輩でもちずちゃんでもどちらかであれば、それは終わったこととして捉えることも可能だが、
初恋の人があの子だと分かった時、最初は嬉しいだろうがと同時に絶望感や不安感や期待感が押し寄せてくるに違いない。
本当の地獄か天国がここから始まるのだ。
暗闇と彩り豊かな花が溢れる様がなんとも象徴的。


あと青い花と青い鳥を関連づけて、とかは当然誰しも考えるのでやめとく。